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航空エンジン・シールは今注目の話題です

26.01.2012

ポール・ジョーンズ(Paul Jones)は13年にわたり航空宇宙産業に従事してきました。
また直近の32ヶ月は、トレルボルグシーリングソリューションズで航空エンジン・シーリングシステムのビジネス開発のグローバル戦略を取りまとめてきました。
ここでは、多くの課題をかかえる航空マーケットのトレンドとニーズについてお話しします。

ポール・ジョーンズ、航空エンジン・グローバルセグメント・マネージャーによると、
2010年、航空機の生産台数は横ばいでした。2009年の受注がひどい打撃を受けていても、2009年より前の受注で決まっている2010年の生産には一向に影響しなかったという訳です。ただビジネスジェット市場では33%のひどい落ち込みになりました。

Trelleborg Sealing Solutions continues in the aerospace industry

航空宇宙産業の投資は続く

厳しい経済状況の中、航空宇宙産業の見通しはよく、民間市場では2012年の実質成長が見込まれています。他の産業が新製品開発を手控える中、航空機メーカーは技術革新を続けており、最近では活況を呈しています。我々は787、A400M、Gulf Stream 650の初フライトを目にしました。A350は開発中で、
そのエンジンは近い将来、飛行が予定されています。
ただA350自身ではなくA380飛行テストベッドに取り付けられたものです。

燃料消費削減が主な原動力

ポールによれば、新しいプラットフォーム開発の原動力は、燃料消費削減が一番です。
航空燃料が1トン燃焼するごとに、3トンの二酸化炭素が発生することから、誰もが航空機の環境問題を考えます。
そこで明らかなように、燃料を減らすと二酸化炭素も減ります。しかしながら、二酸化炭素の放出は法規制されておらず、今まで航空会社の燃料消費を抑える動機は環境よりも経済性でした。

燃料消費を削減することには環境問題と経済性という二つの原動力が働きます。
両目標を達成するための開発が重要視されると考えています。複合材料が機体を軽くする手段として世間の注目を浴びています。
エンジンでは、従来設計から先進ターボファンモデル、最終的には統合推進システム(integrated propulsion system)に移行すると思われます。先進ターボファンモデルでは15%程の性能改善が見込まれます。

新エンジンで効率を改善

ポールによると、統合推進設計はまだ計画段階ですが、先進ターボ技術は、性能を改善して単通路の民間旅客機用に設計されることが検討されるなど、近い将来の実用化が見込まれています。
先進ターボエンジンを搭載したボンバルディアCシリーズは2013年に就航が予定されています。

ボーイング737、エアバスA320などの単通路の民間旅客機は最もポピュラーな旅客機です。
737の初フライトは1967年で、A320は20年後でしたから、共に熟成したプラットフォームと考えられます。航空機設計の新たな開発が迫られるまでは、燃費改善のためにできることには限界がありました。
既存航空機のエンジン改良や翼の軽量化で20%程度の改善になるかもしれません。しかし、次世代航空機では30~40%の性能改善が見込まれています。

最新のエンジンはシールに厳しい要求を突きつける

最新エンジン技術は、シールや機体のサプライヤへ多くの課題を突きつけています。
ポールによれば、新エンジンの設計は最先端の材料技術を駆使する事で、効率を最大にし、メンテナンスを低減します。
シールは、高温下で安定でなければならず、これに対処する為、当社は特殊イソラスト®パーフロロエラストマーを開発し、+325℃(+617°F)までの使用を可能にしました。
また潤滑油も問題で、新エンジンでは、熱安定性の良い(HTS)オイルが使われます。それは腐食性が強くシール材料を劣化させます。
当社はそれに耐性をもつ高温シール材料を試験・開発しました。それは耐薬品性を強化したフッ素ゴム(FKM)で、-40℃~+200℃(-40°F~+392°F)で使用できます。

合成燃料とバイオ燃料にシール材を最適化

化石燃料消費を減らす環境面の要請を受け、航空機業界は合成燃料やバイオ燃料へ目を向けています。またシール材の広範な試験にも取りかかっています。
ポールによると、航空会社も代替え燃料の調査に本腰を入れています。廃棄物からジェット燃料を精製するヨーロッパで最初のプラントを建設することに合意したブリティッシュ・エアウェイズのアナウンスからも見て取れます。

合成燃料やバイオ燃料はシールには潜在的に難しい媒体です。
これらの燃料は芳香族炭化水素が含まれていないことが特徴で、シール材が誤って指定されると、収縮やリークにつながる劣化が生じかねません。
当社は顧客に最適なシールを推奨するため、合成パラフィンケロシン(Bio-SPK) 系にて当社選定材料を試験しました。

Trelleborg Sealing Solutions globally

当社の成功事例をグローバルに水平展開する

トレルボルグの航空エンジン分野に関する戦略は、その最大チャンスを追い求めることのみならず、難題への挑戦でもありました。 トレルボルグは航空業界へ50年以上に渡り供給を続けています。当社が買収を通じて成長してきた結果、当社の様々なビジネスは、ある地域もしくは特定顧客に強いという傾向があります。

当社は航空エンジン用シールを幅広く供給していますが、決して製造拠点の統合を行ってきませんでした。「例えば、米Northborough工場で製造するファイアシールは米国で強く、英Cadley工場で製造するナセルエアフレームはヨーロッパで強く、仏Condé工場で製造するOリングはヨーロッパで強いなどが一例です。また、英Tewkesbury工場では、航空機用のイソラスト®シール材の開発に特化しています。当社はこれらの実績ある分野へさらに投資し、お客様へのより完全な製品提供をめざしていきます。この戦略はセールスを拡大し、お客様がトレルボルグをより魅力的なパートナーと感じていただけるよう、成功事例をグローバルに水平展開することを意味しています。」

広範な製品を世界規模に展開する

お客様がサプライチェインの削減に動いている中、トレルボルグシーリングソリューションズは航空機エンジン用の幅広い製品レンジを提供しており、業界の他の成長分野にも十分お応えできます。「エンジンメーカーは現有サプライヤ数の削減に関心を寄せているため、当社は第一のポジションにあります。トレルボルグシーリングソリューションズはサプライヤ中でも有数の製品レンジを提供していることで業界から評価を頂いているからです。」

当社の世界規模の事業展開も有利に働いています。
アジアパシフィックへの展開は他の産業より遅れています。航空宇宙は未だ米国、ヨーロッパが中心です。事業の合弁や提携が行われるなか、ロールスロイスは独自のアジア工場をシンガポールに持った最初のエンジンメーカーです。
当社は既に製造工場をアジアに持っており、すでに築き上げた関係により、アジア地域でも当社が第一のサプライヤとして選ばれるのだと期待しています。このことは、米国のメーカーがメキシコに進出し、西ヨーロッパのメーカーが東ヨーロッパへ向かう事例にもあてはまります。」

将来航空機は全く違って見えるでしょう

航空エンジン技術が将来どのように発展するかを尋ねると、ポールは、将来の飛行機は今とは全く異なる可能性があると言います。「業界の噂は、完全統合推進システムについてです。これは、エンジン周辺の部材重量や障害を最小にする傍ら、航空機のエネルギー需要を管理するものです。それにはエンジンを機体およびシステムに調和させることが必要となり、油空圧よりも電気アクチュエータの使用が増えていくだろうと予想されます。」エンジニアは複合材料を増やして軽量化を図り、翼、パイロン、ナセル、エンジンの連携改善に向けて動いています。

この技術を使った航空機の設計コンセプトはまだ広く認知されていませんが、複合材のボディに、薄い前進翼、リアのUDF(Unducted Fan)エンジンを装備しています。このアイデアが実現するかはわかりませんが、当社が確信しているのは、その形態いかんによらず、トレルボルグのシールが将来も航空エンジンに指定されるということです。

航空エンジンの構造

トレルボルグシーリングソリューションズは、航空エンジン用のシールとエアフレームコンポーネントを幅広く提供しています。良く目にするインレットカウル、ファンカウル、逆噴射装置から成るナセルに使われているエアフレームコンポーネントの他、メインファンの中で、回転翼間の隙間を埋めるアニュラスフィラーシールや、エンジンを取り囲むダクト用の耐火シールがあります。

あまり目につかない部位に使用されるのがシールであり、トレルボルグシーリングソリューションがエンジン用に提供しているものです。Oリング、ウィルスリング®、ターコン®バリシール®、ターコン®バリリップ®PDRなどのシールは、内部ギアボックスとベアリングチャンバ、オイル&燃料システム、ポンプ、計器、フィルタに使われています。さらに、クランプブロック、ガラス編組シールドを提供し、パイプ、ダクト、配線を所定の位置に保持します。

トレルボルグシーリングソリューションズの航空エンジン用製品レンジ

Trelleborg Sealing Solutions Turcon® Varilip® PDR

ターコン® バリリップ® PDR

エンジン内部の運動用途に理想的なターコン® バリリップ® PDR回転シャフトシールは、精密に製造されたメタルボディと、機械的に保持されたターコン®シールリップで構成されており、同種のガスケットを使用したプレスケース付き回転シャフトシールに比べ耐薬品性と動作温度範囲を改善しています。ターコン® バリリップ® PDRは低摩擦でスティックスリップせず、発熱を減らし、高速動作が可能です。

ガラス編組シールド

ガラス編組シールドは燃料ラインパイプのスチールクリップ周りに使われ、PTEFを含浸させた繊維状のガラス糸でできています。広範な媒体に耐性を持ち、潤滑材、作動油、燃料、大気の影響を受けません。また、摩耗、せん断力、機械的ダメージに優れた耐久性を持っています。

ターコン®バリシール®

航空エンジンの固定・運動アプリケーションで、ターコン®バリシール®は、高温、高圧、汚染などシールに厳しいアプリケーションで使われます。ターコン®はPTFEを母材としたトレルボルグ独自のシール材料で、ほとんどの媒体に耐性を持ち、+260℃(+500°F)まで使用可能です。

Oリング&ガスケット

航空エンジンの様々な固定シール部、例えばギアボックス、エア、オイル、燃料システムなどで、Oリングや特殊モールドガスケットなど、媒体や温度ごとに最適化されたシール材が提供されます。それらは、フッ素ゴム(FKM)の他、大変優れた熱安定性をもち、ほぼすべての媒体に耐性をもつ当社独自のパーフロロエラストマー(FFKM)のイソラスト®です。

エンジン用シール

トレルボルグシーリングソリューションズのエンジン用シールは高温、腐食性媒体、高圧の環境で動作します。燃料メータ、フィルタ、コネクタなどの固定用途にはOリングやガスケット、往復動用途のリニアアクチュエータやバルブにはターコン®CX シール、ターコン® VL
シール®、ターコン®バリシール®が、また回転用途にはターコン® バリリップ® PDRが使われます。

耐火シール

航空エンジンのダクト部に使われる耐火シールは安全を最重視すべき究極のシール部材です。ポリマーとファブリックで製造され、国際規格ISO2685 、AC20-135に適合しています。この規格の要求を満たすには、+1,100℃(+2,012°F)の炎に15分間耐える能力が必要です。

Trelleborg Sealing Solutions Nacelle Seals

ナセルシール

ナセルはエンジンへスムーズなエアフローを送り、ノイズを低減し、回転翼不良が発生したとき航空機を破片から守ります。トレルボルグシーリングソリューションは、安全な着陸に不可欠な逆噴射装置のファイアウォールにある耐火シールを提供しています。またトランスレーティング・スリーブ、 遮蔽ドア、カスタム製品である圧力解放ドア、ヒンジカバーなど、エアロダイナミック・シールも提供しています。

アニュラスフィラーシール

精密加工されたアニュラスフィラーシールは、特殊設計のエアフレームシールで、厳しい環境に耐えるよう開発された先端材料で製造されています。メインファンの回転翼間の隙間を埋める目的やスムーズなエアフロー、エンジンの効率改善に使われています。

パイプクランプ

難燃材のシリコンやフロロシリコンで製造されるパイプクランプは成型されたゴム製ブロックで、航空エンジン内で、配管、ダクト、配線を所定の位置に保持するのに使われます。簡単なように見えますが、エンジン内の高振動によりパイプ、ダクト、配線にダメージや切断がないことを確実にし、安全に不可欠な役割を果たしています。

ウィルスリング®

メタルシールであるウィルスリング®はポリマーシールの使用条件を凌ぐ厳しい環境下で使われるよう設計されました。極低温から+850℃(+1,560°F)まで、高真空から1,000 MPa(145,038psi)まで動作します。これらのシールは、エンジンの燃焼部・排気部など、極限状況に近い条件で使用できます。

航空シールのソリューションに関する追加情報

当社航空技術総合カタログは航空機用のシールを網羅するドキュメントです。ウェブから無償でダウンロードするか(18.7MB)、最寄りのトレルボルグまでご請求ください。